経済不況下における、だからこその美術活動
――墓の中から肩を叩かれるまでがアートです――
不況です。不況、不況、大不況。
財布の紐はキュッと締まり、投資家の表情はすっかり浮世絵の武士よろしく引き締まり、パンすら値上がるこのご時世に、なんと、こんな時に、あえて、美術活動に励む人々がいます。
もちろん「何それ、意識高い系?」と思ったあなた。いえいえ、むしろこの方々、意識が高すぎて大気圏を突破してます。もはや酸素が足りません。
でもね、考えてみれば当然なんです。
市場経済という名の巨大ファストファッション工場から離れ、アートを投資対象として見る目が白目になりかけている今だからこそ、「誰にも頼まれてないけど勝手に文化やってます」な人々――我らが草の根精神的貴族たちの出番です。
彼らは売れないことを恐れません。なにせ、最初から売れると思っていないのです。
彼らは評価を求めません。なにせ、最初から評価されると思っていないのです。
彼らはもう、墓の中から未来を見ています。土の中で腐葉土になりながら、「そうか、あの時の作品が今ようやく再発見されたか」と、未来の学芸員にドヤ顔するその日を夢見て、今日もペンを持ち、ローラーを回し、謎のインスタレーションを黙々と設置します。
その姿に、神はそっと近づき、肩を叩くのです。
「ご苦労だった。続けたまえ」
でもその神、たぶん見た目は大家のオバちゃんです。
「また変なもん部屋に持ち込んで…ちゃんと火事に気をつけるのよ!」
――それでも私たちは今日も作る。
資本主義の山を越え、芸術の谷を越え、墓石の下から文化のタネを蒔く。
頼まれてないけどやってることほど、実は歴史に残るってこと、あると思います。