アルミホイルリトグラフ
家庭用アルミホイルをアルミ版の代用品として使う、低コストなリトグラフの方法
アルミホイルを版材として使用し、油性描画剤、アラビアゴム、水、インクなどを利用して制作するリトグラフです。 このページでは、実際の制作で使用している版材・描画材・補助材料も紹介します。
アルミホイルリトグラフとは?
アルミホイルリトグラフとは、スーパーマーケットやコンビニ、100円ショップなどで購入できる家庭用アルミホイルをリトグラフの版材として使用する方法です。
リトグラフは、油と水が反発する性質を利用して印刷する版画技法です。 油性の描画剤によって描いた部分にインクを付着させ、それ以外の部分には水を保持させることで、インクが付く部分と付かない部分を作ります。
通常のリトグラフでは石版やアルミ板などが使われますが、アルミホイルリトグラフでは、そのアルミ板を身近なアルミホイルで代用することを基本的な考え方とします。
実際に使用している材料
ここでは、アルミホイルリトグラフの制作で実際に使用している材料を紹介します。 特別な版画材料だけを揃えるのではなく、一般に購入できる材料を組み合わせて制作できることも、この方法の特徴です。
版材:アルミホイル
アルミホイルリトグラフでは、アルミホイルそのものを版材として使用します。
薄い家庭用アルミホイルでも制作できますが、ローラーでインクを着肉するときに、インクの粘りによって版が剥がれたり、めくれたり、破損したりすることがあります。
そのため、実際の制作では比較的厚手のアルミホイルも使用しています。
業務用 クッキングホイル 45cm×30m
幅45cmの業務用クッキングホイル。 大きな版を作る場合にも使いやすいサイズです。
エムエーパッケージング 厚手お料理ホイル 25cm×15m
一般的な家庭用アルミホイルより厚手のタイプ。 アルミホイルを版材として使用する際の、強度を確保しやすい材料です。
エムエーパッケージング アルミホイル 厚手お料理ホイル 25cm×15m
描画材:油性色鉛筆
アルミホイルの表面に描画するために、油分を含む油性色鉛筆を使用します。
描画された部分に含まれる油分が、リトグラフにおけるインクの着肉部分になります。
ホルベイン アーチスト色鉛筆
実際の描画にはホルベインのアーチスト色鉛筆を使用しています。
ホルベイン アーチスト色鉛筆 OP510の黒を基本使ってます。。
アラビアゴム液
アラビアゴムは、アルミホイル版の非描画部分を親水化し、油性の描画部分と水性の非描画部分を分けるために使用します。
アルミホイルリトグラフにおいて、油と水の関係を作るための重要な材料です。
アラビアゴム液 1L
スポンジ
版面を湿らせたり、アラビアゴムを洗い流したりするためにスポンジを使用します。
アルミホイルは非常に薄いため、版面を傷めにくい柔らかなスポンジを使用することが重要です。
セルロース バススポンジ
リンシードオイル
リンシードオイルは、油性描画部分の反応性やインクの着肉性を調整するために使用します。
アラビアゴムによって非描画部分を親水化した状態で、描画部分に油性成分を補うことで、インクの着肉を安定させることを狙います。
ホルベイン リンシードオイル
アルミホイルの選び方
アルミホイルリトグラフでは、一般的な家庭用アルミホイルでも制作できます。
ただし、版材として考えた場合、厚みのあるアルミホイルほどローラー作業に対する耐久性を確保しやすくなります。
- 一般的な家庭用アルミホイル:約10μm程度
- 厚手タイプ:約15〜20μm程度
まずは手元にあるアルミホイルで試し、必要に応じて厚手の製品へ変更するのがおすすめです。
アルミホイルのどちらの面を使う?
一般的なアルミホイルには、光沢のある面と、ややざらざらした面があります。
アルミホイルリトグラフでは、基本的にざらざらした面を描画面として使用します。
油性色鉛筆などで描画すると、描画剤の油分がアルミ表面に付着し、後のインク着肉部分になります。
アルミホイルリトグラフの基本工程
- 新しいアルミホイルを用意する
- 必要なサイズに切る
- ざらざらした面を描画面にする
- 油性色鉛筆などで描画する
- アラビアゴムで版面を処理する
- 必要に応じてエッチング処理を行う
- スポンジと水で版面を湿らせる
- ローラーでインクを着肉する
- 紙を置いてプレスする
- 印刷物を取り出す
紙に描いた絵をアルミホイルへ転写する
アルミホイルに直接描画するだけでなく、紙に描いた画像をアルミホイルへ転写することもできます。
紙に油性の描画剤で絵を描き、その紙をアルミホイルの上に伏せて置きます。
プレスなどで圧力を加えることで、紙に描いた油性成分をアルミホイルへ移し、アルミホイル表面に油性の反応面を作ります。
熱処理による描画部分の強化
紙からアルミホイルへ転写した描画部分は、単純に表面へ付着しているだけの場合があり、版としては比較的弱い状態です。
そこでドライヤーなどによる熱処理を行い、油性成分をアルミ表面になじませることで、描画部分を強化する方法があります。
ただし、熱を加えすぎると油分が溶けて流れ、細い線が太くなったり、描画部分が広がったりすることがあります。
描画剤を除去してからインクを着肉する
描画剤そのものの色が最終的なインクに影響する場合には、インク着肉前に描画剤を除去する方法があります。
アラビアゴムで版面を保護した後、適切な溶剤を使って描画剤を除去し、水とスポンジで十分に洗浄します。
その後、版面を湿らせてローラーでインクを着肉します。
アルミホイルリトグラフのメリット
- アルミ版より低コストで始められる
- アルミホイルを身近な店舗で購入できる
- 失敗しても版材を簡単に交換できる
- 小さな設備でも制作できる
- 実験的な版画制作に向いている
- リトグラフの原理を身近な材料で体験できる
アルミホイルリトグラフの限界
アルミホイルは通常のアルミ版よりも薄いため、耐久性には限界があります。
特にローラーによるインク着肉では、インクの粘りによってアルミホイルが動いたり、めくれたり、破損したりすることがあります。
そのため、現時点では大量印刷よりも、少部数の作品制作、実験、技法研究、ワークショップなどに適した版材と考えることができます。
アルミホイルリトグラフ FAQ
普通のアルミホイルでもリトグラフできますか?
はい。一般的な家庭用アルミホイルでも制作できます。 ただし、薄いアルミホイルはローラー作業で破損しやすいため、厚手タイプの方が扱いやすい場合があります。
アルミホイルのどちらの面を使いますか?
基本的には、ざらざらしている側を描画面として使用します。
アルミホイルで版画ができるのはなぜですか?
リトグラフは油と水の反発を利用した印刷技法です。 アルミホイル表面に油性の描画部分と親水性の部分を作ることで、インクが付く場所と付かない場所を分けることができます。
アルミホイルリトグラフとキッチンリトグラフは同じですか?
身近な材料を利用する点では共通していますが、アルミホイルリトグラフでは、特にアルミホイルをアルミ版の代替版材として使用することを中心としています。
アルミホイルリトグラフには何が必要ですか?
基本的には、アルミホイル、油性描画材、アラビアゴム、水、スポンジ、リトグラフ用インク、ローラー、印刷用紙などを使用します。
まとめ
アルミホイルリトグラフは、家庭用アルミホイルをアルミ版の代用品として利用するリトグラフ技法です。
油性色鉛筆などの描画材、アラビアゴム、水、スポンジ、リンシードオイルなど、比較的入手しやすい材料を組み合わせることで、リトグラフの基本的な仕組みを身近な環境で試すことができます。
高価な版材を最初から用意するのではなく、まず一枚のアルミホイルからリトグラフを始められる。
それが、アルミホイルリトグラフという方法の最大の特徴です。