トナー転写リトグラフ

レーザープリンタを使ったリトグラフ印刷の方法|パブリック・ドメイン作品で楽しむ

レーザープリンタを使ったリトグラフ印刷の方法|パブリックドメイン作品で楽しむ

はじめに

この記事では、パブリックドメインの絵画作品をもとに、レーザープリンタで出力した画像をアルミ板に転写し、一色刷りのリトグラフ作品を制作する方法をご紹介します。

使用する素材と準備

今回は、1800年代のオランダの画家 Alexandre Ver Huell の作品を使って印刷を行います。

Artvee というサイトから、著作権の切れた絵画を無料でダウンロードできます。A4サイズ程度の印刷には十分な解像度です。

画像の加工

  1. Artveeからダウンロードした画像を、Photoshopなどで開きます。
  2. 中間トーンが潰れないように、明るさ・コントラストを調整し、線と面をくっきりさせます。
  3. 完成したら、JPEGまたはPNGで保存します。

版下の作成

  1. Affinity Designer 2(またはIllustrator)でA4サイズのドキュメントを作成します。
  2. 保存した画像を配置し、必要であれば見当線(トンボ)を追加します。
  3. レーザープリンタで出力します(反転の必要はありません)。

アルミ転写と製版工程

  1. インクをローラーに準備し、スポンジやアラビアゴムも用意します。
  2. アルミホイルを水で湿らせ、プレス機の定盤に貼りつけます。
  3. 出力したコピー紙の裏側に有機溶剤を筆で塗り、トナーを浮かせます。
  4. 溶剤が揮発したら、印刷面をアルミに重ねて転写し、プレス機でゆっくり圧をかけます。
  5. コピー紙を剥がし、アラビアゴムを塗って親水面を作ります。

刷りと仕上げ

  1. 版を湿らせながら、インクをのせたローラーでインクをのせていきます。
  2. スポンジやスプレーで水を補いながら乾燥を防ぎます。
  3. 紙を置いて、プレス機で刷れば完成です。
  4. 必要があれば再度アラビアゴムを塗って版を保護し、繰り返し印刷も可能です。

よくある質問(FAQ)

Q. どのようなプリンタを使えばいいですか?

A. レーザープリンタを推奨しています。インクジェットプリンタではトナーが転写できません。

Q. 使用できる紙の種類は?

A. コピー用紙(普通紙)がベストです。厚紙や光沢紙は転写しにくくなります。

Q. 画像を反転する必要はありますか?

A. 今回の方法では反転せずに印刷してください。反転は不要です。

Q. ソフトは有料のものでないとダメですか?

A. PhotoshopやAffinity Designerが推奨ですが、無料ソフト(例:GIMP、Inkscape)でも対応可能です。

Q. どれくらい繰り返し刷れますか?

A. 転写状態や管理次第で、10枚前後の刷りが可能です。

この記事がリトグラフ制作の参考になれば幸いです。作品制作の楽しさを、ぜひご自宅でも広げてみてください。

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